黄泉路万華郷(よみじまんげきょう) 通称:黄泉郷、万華郷




    時にはススキ

    ある時はに佇む彼岸花

    そして月下美人に寄り添う大瑠璃


一晩明かすと、そこはまるで違う景色に囲まれ

寝ている間に何者かにどこぞへ連れやられたと言われれば

納得するであろう摩訶不思議な地が在った。


    「百鬼夜行に出遭うと死んでしまう」


その地はその特異さゆえか、古来より百鬼夜行の通る路と恐れられていた。

人々はその地を避け暮らしていたが、そこへとある一族が足を踏み入れて以来その様相を変える事となる。




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荒くれで物好き札付きの変わり者「黄泉家」は好んでその地に訪れ
次第に一族が続々と集まり拠点を置くようになっていった。

というのもその地には温泉が湧いており、目を楽しませる景色があり
百鬼夜行を恐れぬ、いや、百鬼夜行すらも物見遊山に行くような者にとっては住み良い土地であったのだろう。

百鬼共が黄泉の国へ行く道、また黄泉そのものではないかと噂はますます広まり、同時に黄泉家の集落の存在より次第にその地は人々の間で『黄泉路』と呼称される。
一方、当の黄泉家では温泉の珪華、その地を彩る花々の数々、一つとして同じ景色は無い程に移り変わる景色を称える意を込め『万華郷』と呼んでいた。

その内、黄泉の一族が始めた温泉宿は長い年月をかけ評判を呼び、宿は数を増やし、各地からその地に移住する者も次々に現れた。
国や種族、地位や名誉、個人の何一つを問わず平等に湯を楽しめる地として人で賑わい、黄泉家で呼ばれていた万華郷の名も広く知れ渡る事となる。

現在、『黄泉路万華郷』として、慰安と得体の知れなさを同時に愛する者たちの溜まり場となっている。



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各地よりあらゆる人が訪れるが、この地では親の仇であろうと軍人と盗人であろうと争い事はご法度。
荒事は喧嘩両成敗として黄泉の末裔達が始末にやってくる。
他にも身分違いの恋人達の密やかな逢瀬に。時には権力者が一般市民として寛ぐ地として。


そして、百鬼夜行に出遭うと…


やはりただの云われではない土地ではあり、視る者は視る地である。
撥ね退ける力のある者は良いが、中には闇に引き寄せられる者も。
だが朱に交わり赤くなっていては命がいくつ有っても足りぬ。

そういった者達が黄泉で過ごす為には、「木を隠すのは森の中、人を隠すのは人の中」
百鬼を惑わすには百鬼に扮すれば良い。

黄泉では術を仕込んだ仮面や羽織、百鬼に扮するありとあらゆる物が取り揃えられ、望む者はそれらを着けて過ごすのである。
扮する者の大半を占めるのは、縁日で浴衣を着て面を着けるが如く雰囲気を楽しむ者のようだが
そういった、確証のないほんの少しの緊張感(スリル)を味わえるのが万華郷なればこそである。





  よみはよいとこ

  いちどはおいで




 宵闇ノ者、害ト思ウナラバ唱エヨ
 「タカハシヤ、エカセニクリニ、タメルサケ、テエヒ、アシエヒ、ワレシコニケリ」

 揺蕩フ者、恋焦ガレルナラバ唱エヨ
 「タマハミツ、ヌシハタレトモ、シラネドモ、ムスビトドメシ、シタカエノツマ」









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<以下諸説・内部設定>

「おに」の語はおぬ(隠)が転じたもので、元来は姿の見えないもの、この世ならざるものであることを意味した。
(出典:wikipedia)

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「鬼」という字の「解字」には,諸説があり,大きなまるい頭をして足もとの定かでない「亡霊」を描いた象形文字。
または,「怪物の頭の形」の下に「人」を意味する「儿」を,さらに,その右に「人に害を与える」という意味の「ム」を付け,この三つが組合わさって,人の「死後の魂」を表す会意文字。
さらには,「祖先の祭りに亡き祖先に似せた仮面をかぶった人」が原義で,「鬼」(仮面をかぶった人の形)が意符,「ム」が音符で,「不吉」の意を表す形声文字,とも言われる。

別の説では,「鬼」という字には,「造」という漢字のところで考慮したとおり,「生命」の動き,「生きている」こと,
「動いている」ことを表す「丿」(のかんむり)の下には「田」,その下には「人」を表す「儿」,そして,その横の「ム」は,「私的な」「秘密の」という意味であると言われている。(出典:http://godpresencewithin.web.fc2.com/pages/zatsugaku/kanji.html)




「難シハヤ、行カ瀬ニ(トッ)クリニ、溜メル酒、デ酔イ、悪シ酔イ、我シ来ニケリ」
(百鬼夜行に参加するのが)難しかったのは、行く時に徳利に溜めてた酒…で酔っちゃって、(それも)悪く酔っちゃって、俺来れなかったんだわ)




■万華泉
万華鏡の基本的な温泉全般。
特殊気候はコレの含有物によって引き起こされるといわれる地中に
一本の高温湯の本流(湯華を含む)があり、取り巻くように性質の異なる3本の水脈がある。
本流と流れ込む水流でそれぞれ異なる化学反応を起こす。

水流は海と通じているのか、月の満ち欠けにより
それぞれの水流の勢いが変化し、本流と調合差が出る。

これによって各地では大体日替わりで混合の比率が変わる事で成分差が出てくる。
(仮に成分=A:よく温まる+傷を癒す、B:体から熱を逃がす+集中力が増す、C:香りが良い+精神を落ち着ける/とする)

▼成分比率に差は有るが、基本はこの6種類。(本=本流)
 本+A、本+B、本+C (時折下段)
 本+A+B、本+A+C、本+B+C(時折、本+A+B+Cにもなるがごく稀かつ比率が5:4:1等偏りが大きい。)
 本+A+B+C(常時黄金比で混ざる、六華泉という湯がある。それ以外の万華泉では、六華泉に近い程確立が上がる。詳細は以下。)


自然混合湯が地表に出てくるのが大体丁度良く、他の水を汲み上げて黄金比にして暖めなおして等々は困難で
基本的に宿を立てる場合湯の好みを判断してから土地を買う。(基本は日によってだが、3水脈に近い方が性質が強く出やすい等誤差がある)


六華泉
質、温度共に万華泉の黄金比であるとされる混合具合の湯が常時湧く。いわゆる一等地。

黄泉郷中央からは温泉源が湧き出ており、開拓によって湯を黄泉郷中に分配している。
黄泉路と呼ばれるより前、地表には水流と混ざらず高温のまま流れ出ており、煮え滾った湯湖のごく近くは植物が枯れ
中央から離れた土地は美しかったが、踏み入れるとまるで地獄だったのを、周辺から黄泉家が水流を調整等々開拓し
湖と化していた場所は今では完全に土地として利用されている。

その黄泉郷中央の温泉源を囲むように、0時(水流A)、4時(水流B)、8時(水流C)付近から3方向に地下水流が流れる。
六華泉は中央付近、水流A、B、Cの直上に位置する。

   □□水□□
  □□□水□□□
□□□□水□□□□
□□□□英□□□□
□□□□■□□□□
□□□椎□美□□□
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  水□□□□□水      ズレ防止の当て字は察すれ
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